
医療技術の進歩によって生きるチャンスを得た子どもたち、不慮の事故や病気によって障害を抱えた人々。
そのすべてが同じ人間として人間らしく生きるために、障害福祉サービスは必要不可欠な取り組みです。
その需要は年々高まっています。
私たち自身が明日、そのようなサービスが必要になるかもしれません。
日本においてはさまざまな障害福祉サービス事業が行われており、いずれの事業を行うにしても、その継続性の観点から法人格取得が必要です。

株式会社がいいの?NPO法人のほうがいい?

めざす事業規模や運営法人など、事業展開によっておすすめの法人は違います。
「どの法人を設立するか?」迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では障害福祉サービス事業を開設するためのおすすめの法人選びについてメリット・デメリットを比較しながらわかりやすく解説していきます。
障害福祉サービス事業を開設するのにおすすめの4法人の種類と特徴
障害福祉サービス事業を開設するための法人設立で選ばれるのは多くの場合以下の4つの法人です。
社会福祉法人設立はかなりハードルが高いため、NPO法人などで事業規模が拡大した後に改めて設立するなどのケースが比較的多い法人です。
一般財団法人は最低300万円の財産の拠出が必要で返還されないため、障害福祉サービス事業を開設するために設立されることはあまりありません。
以下に4種の法人の主な特色を比較した表を掲載します。
| 株式会社 | 合同会社 | NPO法人 | 一般社団法人 | |
| 事業の目的 | 自由 | 自由 | 制限あり(20種類のいずれか) | 自由 |
| 所轄庁 | なし | なし | 都道府県または政令指定都市ほか | なし |
| 資本金等 | 1円以上 | 1円以上 | なし | なし |
| 定款作成時の印紙税 | 4万円(電子は0円) | 4万円(電子は0円) | 0円 | 0円 |
| 定款認証時の手数料 | 1.5万円~(資本金により異なる。別途謄本手数料数千円必要) | 0円 | 0円 | 5万円(別途謄本手数料数千円必要) |
| 登録免許税 | 資本金額の0.7%または15万円のいずれか高い方 | 資本金額の0.7%または6万円のいずれか高い方 | 0円 | 6万円 |
| 利益の分配 | 出資額で按分 | 自由 | できない | できない |
| 最低必要人数 | 1人 | 1人 | 10人 | 2人 |
| 最高決定機関 | 株主総会 | 全社員の同意 (社員は会社員という意味ではない) | 社員総会 (社員は従業員という意味ではない) | 社員総会 (社員は従業員という意味ではない) |
| 役員の数 | 取締役1人以上 | 社員1人以上 | 理事3人以上、監事1人以上 | 理事1人以上 |
| 決算の公開 | 義務あり | 義務なし | 所轄庁に提出 | 義務あり |
| 税制 | 全所得に課税 | 全所得に課税 | 収益事業のみ課税 | 非営利型は収益事業のみ課税・営利型は全所得に課税 |
| おもな特徴 | 多角経営・事業拡大など、柔軟に対応が可能 | 所有と経営が同じで個人事業に近い。 設立時のコストが最もひくい | 公共性の高い法人で所轄庁への報告がある | 株式会社・合同会社に近い運用が可能 |
障害福祉サービス事業を開設するための4つの法人のメリット・デメリット

株式会社
メリット
- 社会的信用度は比較的高い
- 複数の出資者から資金を調達するなど、出資者(オーナー)と経営者が別の時に利用しやすい
- 登記の際は経営者のみが登記される
- 出資者の責任は出資額の範囲(有限責任)に限定されるため、出資者が比較的募りやすい
- 事業拡大・事業多角化に適した自由度が高い
デメリット
- 設立費用が他の法人に比べ高額
- 設立がいくらか煩雑
- 法人税率が高め
- 利益優先だとみられやすい
合同会社
メリット
- 設立費用が安い(株式会社より低コスト)
- 設立手続きが簡素
- 出資者の責任が出資額に限定される(有限責任)
- 出資比率などによらず内部自治が自由に行えるため柔軟な組織運営が可能
- 利益分配が自由に設計できる
デメリット
- 社会的な認知度が株式会社より低い
- 大規模な資金調達には向かない
- 事業拡大時に組織変更が必要になる場合がある
NPO法人(特定非営利活動法人)
メリット
- 非営利性が明確で福祉事業との親和性が高い
- 税制優遇を受けられる可能性がある(認定NPO法人の場合)
- 所轄庁からの認証後登記となるため社会的信頼性が高い
- ボランティアや寄付を集めやすい
デメリット
- 設立手続きに時間がかかる(所轄庁の認証が必要で設立に6か月程度かかる)
- 情報公開義務がある(毎年所轄庁に報告を提出し、情報が公開される)
- 利益分配ができない(剰余金は事業に再投資)
- 理事会等の運営に手間がかかる
- 資金調達面で制約がある
一般社団法人
メリット
- 比較的設立が容易(公証人の認証を受けて法務局で登記すれば設立)
- 非営利性を保ちつつ、収益事業も可能
- 社員(構成員)の範囲を自由に決められる
- ハードルはかなり高いものの公益認定を受ければ税制優遇も可能
- 内部統治の自由度が高い
デメリット
- 収益を構成員に分配できない(非営利型の場合)
- NPO法人と比べて税制優遇が少ない(非営利型でない場合)
- 社会的認知度がやや低い
- 補助金・助成金の対象外の場合がある
法人形態の選び方のポイント
どの法人を選ぶかは事業の目的や運営方針、資金調達の方法によって異なります。
判断するのポイントは以下の5つです。

1. 事業の目的と運営方針
- 営利目的か非営利目的か
- 営利目的(利益を追求し、役員や出資者に配分したい)→ 株式会社・合同会社・一般社団法人(営利型)
- 非営利目的(利益を出しても分配せず、事業のために再投資)→ NPO法人・一般社団法人(非営利型)
売上収入等から諸経費、給与や役員報酬を支払い、最終的に残った利益を出資者に分配はできない
- 意思決定のスピード
- 迅速な意思決定をしたい → 株式会社・合同会社(代表者の裁量が大きい)
- 多くのメンバーで協議して決定 → NPO法人(理事会が必要)・一般社団法人(非営利型の場合理事会が必要)
2. 設立コストと手続きの手軽さ
- 低コストで設立したい
- 最も安い → 合同会社(設立費用:約6~10万円)
- 中程度の費用 → NPO法人・一般社団法人(設立費用:約12~20万円)
- 最も高い → 株式会社(設立費用:約20~30万円)
- 早く設立したい
- 早い(1週間程度) → 株式会社・合同会社・一般社団法人
- 遅い(3~6か月かかる) → NPO法人(所轄庁の認証が必要)
3. 資金調達のしやすさ
- 銀行融資を受けやすい法人形態を選びたい
- 株式会社・合同会社 → 銀行や投資家からの融資を受けやすい
- NPO法人・一般社団法人(非営利型) → 助成金・補助金を活用しやすいが、銀行融資は難しい場合がある
- 助成金・補助金を活用したい
- NPO法人・一般社団法人(非営利型) → 国や自治体の補助金が充実
- 株式会社・合同会社 → 補助金は活用しづらいが、融資は受けやすい
4. 事業継続のしやすさ
- 事業の継続性を重視したい(法人が存続しやすい)
- 株式会社・一般社団法人・NPO法人 → 代表者が交代しても法人が存続
- 合同会社 → 代表者が交代すると解散の可能性がある(定款で継続の規定を入れることで回避可)
- 役員変更の自由度
- 株式会社・合同会社 → 代表者や役員の変更が比較的簡単
- NPO法人・一般社団法人 → 理事会の決議が必要な場合が多く、変更手続きがやや面倒
5. 信用力
- 法人の信頼性を重視したい
- 株式会社 → 社会的な信用度が最も高く、取引の面で有利
- NPO法人 → 公共性が高いため、行政や自治体と連携しやすい
- 合同会社・一般社団法人 → 知名度は低いが、適切に運営すれば問題なし
法人形態ごとの比較表
| 観点 | 株式会社 | 合同会社 | 一般社団法人 | NPO法人 |
|---|---|---|---|---|
| 営利/非営利 | 営利 | 営利 | 非営利(分配不可) | 非営利(分配不可) |
| 設立費用 | 約20~30万円 | 約6~10万円 | 約12~20万円 | 約12~20万円 |
| 設立期間 | 1~2週間 | 1週間程度 | 1~2週間 | 3~6か月 |
| 意思決定 | 迅速(代表者の裁量) | 迅速(代表者の裁量) | 理事会で決定 | 理事会で決定 |
| 資金調達 | 銀行融資を受けやすい | 銀行融資を受けやすい | 助成金・補助金が活用しやすい | 助成金・補助金が充実 |
| 信用力 | 高い | やや低い | 公共性あり | 公共性・信用度が高い |
まとめ:どの法人を選ぶべきか?
✅ 「営利目的」かつ「銀行融資を受けたい」 → 株式会社が最適
✅ 「小規模で低コストに開業したい」 → 合同会社が最適
✅ 「非営利目的で助成金を活用したい」 → NPO法人が最適
✅ 「非営利だけど設立の手間を抑えたい」 → 一般社団法人が最適
事業の目的や資金計画を考えながら、最適な法人を選ぶことが大切です!
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